04606-161206 池田眞朗先生ご講演会
池田眞朗先生の講演会を成蹊大学で開催しました。
shioが慶應義塾大学大学院の修士課程、博士課程に在学中の5年間、指導教授としてお世話になった池田眞朗先生は慶應義塾大学を定年退職後、慶應義塾大学名誉教授となられる一方、武蔵野大学教授として、新たに開設された法学部の学部長をおつとめです。
本年度shioは成蹊法学会の委員であり、講演会を企画、主催する立場にありますので、自分で自分の指導教授を招きたい、などと言い出すつもりは全くありませんでした。ちょうど池田眞朗先生が有斐閣の「書斎の窓」に法学教育の刷新に関する6回連載をお書きになっていたことから、法律学科主任の北川先生が講演者として池田眞朗先生を推してくださり、池田先生のご快諾を得て、開催の運びとなった次第です。
自分の指導教授を自分の職場に招くことができ、shioゼミの学生たちが直接お目にかかってご講演をうかがう機会を作れて、こんな嬉しいことはありません。
正門までお迎えに上がると、いつもの笑顔の池田眞朗先生が歩いていらっしゃいました。法学部長室でお茶を召し上がりながら雑談した後、成蹊大学4号館ホールへ。
「法律学の学び方と教え方──新世代の法学部教育を求めて」と題した90分間。池田先生の「講演」、というより「授業」が展開されました。ステージから降りて、学生たちの間を歩き回りながら学生たちと対話で進める授業です。
池田先生は以前から学生の発言を喚起する授業方式を取り入れていましたが、武蔵野大学で教えるようになってからは、このようなスタイルを全面的に実施しているそうです。学生の興味関心を喚起する、学生目線の内容で授業を進める、といった目的です。
今回のご講演の内容は、先生からのメッセージと示唆に富むものでした。その多くは「書斎の窓」の連載(第1回〜第6回)に論じられていますので、下記をご覧くださいませ。
さらに私は拙稿「民法(債権関係)改正作業の問題点」(『世界』2015年2月号)では、「法学部教育の問題点を俯瞰して」という項目を立てて、「学理の追求にばかり目を向ける学者たちと、日常生活のルール作りに無関心な市民との二極の乖離は、我が国…www.yuhikaku.co.jp
実は大教室双方向授業の実践にはまだかなりのノウハウがあるのだが、そろそろ紙幅が尽きるのと、パテントのない世界でしばらくはこれをわが武蔵野大学新設法学部のセールスポイントにしたいので(私は専任教員対象にこの大教室双方向授業の講習会を開いた…www.yuhikaku.co.jp
もっとも、ビジネス・公務員の進路に傾斜したカリキュラムを設定して基本的な特色とするといっても、法律学科の学生には、司法試験受験希望者や、司法書士、不動産鑑定士などの士業を目指す学生が現れてくるのは当然であり、そういう学生にもしっかり対応…www.yuhikaku.co.jp
私はその他、導入教育の法学用に必要十分な超薄型六法の開発(石川・池田ほか編『法学六法』信山社、2008年以来毎年発行)、関係図を入れ裁判の流れや判決の位置づけに解説の重点を置いた判例解説書の出版(奥田・安永・池田編『判例講義民法1総則・…www.yuhikaku.co.jp
前掲の「世界」拙稿で十分に紹介できなかった大村敦志東京大学教授の(およびその率いる学会の)「法教育」についての業績にも若干触れておく必要があろう。それらは、高校生や市民らに法教育を普及させていこうとする方向の試みとしては、相当に高い評価…www.yuhikaku.co.jp
教育技術から言えば、同じ知識でも、いかにわかりやすく、深く、そして忘れにくく教えられるか、というのがまず大事なことであろうし、その知識をいかに応用して使いこなせるか、を教えることがさらに重要である。このあたりまでは、マニュアル的な研修指…www.yuhikaku.co.jp
池田眞朗先生、成蹊大学にいらしてくださって、どうもありがとうございました。学生共々、心より感謝申し上げます(もちろん当日中に直接御礼メイルを送りました)。
By 塩澤一洋, Kazuhiro Shiozawa on December 17, 2016.
Exported from Medium on May 2, 2017.